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相続に必要な遺言書|種類や作成手順をご紹介します

相続に必要な遺言書|種類や作成手順をご紹介します

相続に必要な遺言書|種類や作成手順をご説明します

遺言書については、「まだ元気なのに縁起でもない。」「難しそうだし、どう書けばいいか分からない。」「うちには財産がないから、作らなくていい。」なんて感じる方も多いでしょう。しかし、元気なうちだからこそできること、それが遺言書を作ることです。遺言書があったからこそ防げた事態もありますし、遺言書がなくて苦労する事態もあり得ます。

日本における(法律上の)遺言書は、厳格な要式行為であり、法律に則った方式に従わないと、無効にされてしまうなんてこともあり得ます。
遺言書を作成するには、自分ひとりでは大変でも、身近な専門家にご相談いただければ、意外と簡単に作れてしまうものです。
そして、遺言書を作った方がいい、必要ないの判断は、財産の多寡ではなく、ご家族の状況によって判断できるものです。
それでは、ここからは遺言書の概要から作成手順、注意点を解説致します。

1.遺言書ってどんなもの?

法的な意味での遺言書とは、自分が亡くなった後に、相続人が財産をどう分けるかなどについて書いた書類です。
「書類」と書きましたが、現民法では、あくまで紙ベースのものしか遺言書と認められないんです。
亡くなったときに持っていた財産は、法律上定められた割合(法定相続分といいます。)で相続人に引き継がれますが、相続分とは、あくまで「割合」を言いますから、金銭のように複数人で割れない財産(不動産や自動車など)についても、相続人が複数人で持っている(共有している)ことになります。
しかしこれでは、持っておくことも利用することも、はたまた売却することも不便です。

この共有を解消する手段として、前回のブログでも記載した「相続人全員で、誰がどの財産をどれだけ相続するか、協議を行う(遺産分割協議)」ことと、「遺言者が、生前に誰にどの財産をどれだけ相続して欲しいか指定する」方法とがあります。
今回は、遺言書についてですから、後者についてご説明します。

遺言書には、主なものとして、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
以下では、それぞれについてご説明します。

① 公正証書遺言

公正証書遺言は公証役場で作成する遺言です。
公証役場に行き、遺言者の作りたい内容に沿った内容で、公証人に遺言書の作成を依頼するものです。公正証書遺言は、法律のプロである公証人(公証人は、退官した裁判官や検察官など、法律の専門家が務める公職です。)が内容をチェックした上で作成するため、法律上の様式に従った方法で作成されますし、無効になることはほとんどありません。
一般的には、遺言者の作成したい遺言内容について、司法書士や弁護士などの専門職と協議の上、専門職が内容を起案した上で公証人とダブルチェックを行い、作成当日、遺言者が公証役場に行くことで、作成されます。
作成に当たっては、証人2名以上が必要となりますが、身近に依頼する方がいない場合には、アドバイスを依頼した専門職になっていただいたり、公証役場に手配いただくこともできます。
そして、公正証書遺言は、家庭裁判所における検認手続も不要ですから、相続人の負担も軽減されています。
デメリットとしては、手続きが複雑で作成費用がかかることですが、思ったほどは費用は掛かりません。

② 自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言のイメージとして一般的な、自分で書く遺言を言います。
民法968条には「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定められています。
以前は、どの財産を誰にどれくらい相続させるという一覧表(例えば財産目録など)も手書きでなければなりませんでしたが、平成31年の民法改正により、「自筆証書と一体のものとして相続財産目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録のすべてのページに署名し、印を押さなければならない。」旨の改正がなされましたので、作成が少し楽になっています。

また、令和2年7月10日からは、遺言書保管法が施行されましたので、自筆証書遺言について、法務局が保管する制度もできています。これによると、公正証書遺言のみに許されていた「相続開始後の家庭裁判所による検認手続不要」が、法務局にて保管される自筆証書遺言についても及ぶこととなっています。

自筆証書遺言は自分ですぐに作ることができる遺言書で、作成費用もかかりません。
一方で、偽造されるリスクがありますし、紛失したり、他の相続人に隠匿されることもあります。
したがって、結果としてみて、公正証書遺言よりもトラブルになる可能性も高くなると言えます。

③ 秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を封印し、公証人に認証してもらう遺言です。
遺言の内容は秘密にしたいけれども、遺言書の存在は公にしておきたいという方にお勧めです。
これにより、遺言者の意思に基づいて作成された遺言書であることが明らかとなり、偽造のリスクを減らすことができます。一方で、遺言書に何が書いてあるのかは公証人も確認していないため、内容に不備があったとしても、そのままの状態で保管されてしまいます。
また亡くなった後に遺言の内容に沿って相続手続きを進めるには、家庭裁判所で検認の手続きが必要となります。

④ 遺書と遺言書は違うの?

遺言書と似た言葉に「遺書」があります。遺書と遺言書は異なるものです。
「遺書」とは、亡くなる前に自分の気持ちをつづる手紙を指します。遺書に財産の分配方法を書いておいても、遺言書として要件を満たしていなければ、法的な効力はなく、単に残された人へ向けた要望に留まってしまいます。
テレビドラマでは、ビデオカメラで生前の遺言者を撮影して、いざという時に、「遺言を発表します。」なんてものも見かけますが、これはまさに「遺書」にしかなりません。
書面でもないので、「遺書」とも言えないかもしれませんね。
遺言書は、民法に厳格に方式が規定されているものですので、これに従わない限り、法律上有効な遺言書とはなりません。
自分が亡くなった後、トラブルなく財産を引き継いでもらうためには、遺言書の法律上の要件を守り、誤解のない明確な言葉を使って、遺言書を作成しておく必要があります。

2.3種類の遺言のうち、どの遺言書がおすすめ?

結論から、司法書士としての見解を述べますと、
 やっぱり公正証書遺言が一番
と思っています。
と言いますのも、そもそもなぜ遺言を作成しておくべきなのかと言うと、
この趣旨は、
 遺言者に相続が発生したときに、紛争を予防したいから
であると思います。

それでは、ここを重視しながら、それぞれの方式を考えていきましょう。

① 自筆証書遺言について

自筆証書遺言は、作成も簡単ですし、作成にあたっての費用もかかりません。テレビなどでも取り上げられますから、イメージとしても定着していると思います。
しかし、自筆証書遺言は、その欠点として、
 1 紛失する恐れがあること。
 2 折角作成したものが、必要なときに発見されないことがあること。
 3 相続人により、隠匿・偽造される恐れがあること。
 4 被相続人が亡くなった際に、家庭裁判所で「検認」という手続を取らなければならないこと。
 5 作成した時点で、当時本人が本当に自分の意思で作成したのかが、外部から不明瞭であること。
  (相続財産を多く取得したい相続人が、そそのかして書かせたものかもしれません。)
 6 作成した遺言に、方式の違反や内容に不正確がある場合には、無効とされること。
※ 検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続を言います。
という点がありました。
遺言書保管法の施行により、上記1・2・3・4について、作成した自筆証書遺言は遺言者の住所地を管轄する法務局にて保管してもらうことができますので、
 1 紛失する恐れはなくなりました。
 2 遺言者が亡くなったときには、相続人は、
  ・ 遺言が預けられているかの確認
  ・ 遺言の内容に関する証明書の発行
  ・ 保管されている遺言書の閲覧
  を受けることができますので、発見されない可能性は(法務局あて照会すらしなければ、発見されない可能性もあります。)低くなりました。
 3 法務局にて保管されますので、偽造・隠匿の恐れはなくなりました。
 4 保管の申請をすることで、検認手続は不要になりました。
という解決が図られています。

さらに、遺言書保管の申請については、
必ず
 ・ 本人が出頭して(介助のための付添人が同伴することは問題ありません。)
  ※ 法務局の遺言書保管官が本人確認を行います。
 ・ 自らが申請を行う
  ※ なお、申請の際には、法務局に事前予約が必要です。
必要があります。
したがって、自分で遺言を作成した後、
 「自身の遺言であり、遺言の保管をお願いしたい。」旨を法務局に申請する
ことになりますから、5についてもある程度の対策が練られているとも考えられます。

しかし、6については弱く、自筆証書遺言は、制度上、作成に際して本人が真意に基づくのか、証人や公証人が立ち会うこともありませんので、本人が自身の意思で作成していたとしても、それを証明する手段がありません。
(外部から不明瞭であることに変わりがありません。)
遺言書保管の申請は、作成時点での意思確認ではなく、作成したあとに、
 ・ 自身の作成した遺言であること
 ・ 保管を依頼したいこと
について申請をするに過ぎません。
したがって、作成時点での意思を確認した者がいないことになります。

なお、遺言書保管法における保管の申請の際は、遺言書の要式を簡単にチェック(日付の記載があるか等の形式面)を受けることはできますが、内容についてまで審査を受けることはできません。
また、作成に際して、法務局からアドバイスを受けることもできません。

② 秘密証書遺言について

自筆証書遺言と同様、自身で作成しますから、簡便であり、費用も比較的掛かりません。
しかし、遺言書を作成して封書に入れるところまでは遺言者がすることになりますから、要式に誤りがあった場合には、やはり無効となってしまいます。

そして、公証人の関与を求める方式になりますから、折角公証人の関与を求めるのであれば、公正証書遺言で作成することをお勧めします。

③ 公正証書遺言について

安定して、この方式をお勧めしたいと思います。
自筆証書遺言の保管制度もできましたが、やっぱり公正証書遺言が一番と考えます。

そもそも、なぜ遺言を作成しておくべきなのかと言うと、
この趣旨は、
 遺言者に相続が発生したときに、紛争を予防したいから
であるとお伝えしました。

この点、公正証書遺言は、作成するのは本人ですが、
 ・ 公証人
 ・ 証人2名
立ち会いの下で、
 作成する遺言が本人の意思に基づくことの確認を受けた
上で作成されますので(公証役場に出向いてまで、自身の意思を申述しているという点で、本人の真意に基づくことが明らかになりやすい。)、作成時点の本人の意思確認がしっかりとされているということができます。
また、「6 方式や内容が正確ではないために無効となった。」ことが無いよう、家族関係や財産の内容等を踏まえた上で、公証人(関与する司法書士や弁護士も含めて)のリーガルチェックが入りますので、無効となることがまずありません。
したがって、公証人(+司法書士や弁護士)の関与を求める形がやはり一番安心であり、間違いがないと考えます。
財産の多寡によって公証人の手数料や司法書士、弁護士の報酬は変わりますが、
 ・ 人生に何度も作成するものではない
 ・ せっかく作成するなら確実なものを
という観点から、費用は覚悟(言うほど高額ではありません。)していただいて、公正証書遺言の作成に臨まれてはいかがでしょうか。

3.遺言書を作成するメリット

「遺言書を作ろうか。」と思っても「今じゃなくていいか。」と先送りにしてしまう方は、遺言書を作成するメリットが十分理解できていないからではないでしょうか。
遺言書は、財産を遺す人(被相続人)も、相続で財産を受け継ぐ配偶者や子どもなど(相続人)にも大きなメリットがあります。
まずはどのようなメリットがあるか知っておきましょう。

① 相続人の負担が減る

遺言書がない状態で人が亡くなった場合、その人が持っていた財産は、法律上決められた割合で相続人に引き継がれます。
しかし、具体的に誰がどの財産を引き継ぐかは、相続人全員の話し合いによって決めなければなりません。相続人の数が多かったり、遠方に住んでいたりする場合には、そもそも相続人全員に連絡して話し合うことも一苦労です。また、意見の不一致により話し合いが難航し、親族のトラブルに発展する可能性もあります。
そんなとき、遺言書が作成してあれば、話し合いが不要となりますから、手続きは格段にスムーズに進みます。相続人にとって、相続手続きは大きな負担となりますから、予め相続人と一緒に、遺言者が財産の内容や割り振りを話して指定しておけば、遺産分割協議と同じように、相続人の希望も反映した内容の遺言書を作成することができます。
財産の内容や家族構成、考えが変われば、遺言は再度作成することもできます。
相続トラブルを抱えてから、「遺言書さえあれば上手くいくのに」と思っても遅いのです。
相続人に負担をかけないために、遺言者ができる思いやりは、遺言書の作成ではないでしょうか。

② 法定相続人以外にも遺産を分けることができる

遺言書がない場合、亡くなった人の財産は法定相続人に引き継がれます。
法定相続人は民法で次のように定められています。
 ・ 亡くなった人の配偶者
 ・ 亡くなった人の子ども
 ・ 亡くなった人に子どもがいない場合は亡くなった人の直系尊属(親など)
 ・ 亡くなった人に子どもも直系尊属もいない場合は、亡くなった人の兄弟姉妹
遺言書を作成すれば、孫や生前にお世話になった方などの法定相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことや、相続の割合を変更することも可能です。
長年一緒に暮らしていても、婚姻届を出していない内縁の妻や夫へは、遺言書がないと相続させることはできません。

4.遺言書を作成する手順

遺言書を作成するメリットが確認できたところで、具体的な遺言書の作成手順をご紹介します。
遺言書の種類によって手順も異なるため、自分がどの遺言を作成するか、良く考えてから準備するようにしてください。

先にも申し上げたとおり、個人的には公正証書遺言をお勧めしますが、それでもやっぱり自筆証書遺言を作成したいという方は、以下を参考にしてください。

① 公正証書遺言の場合

1.遺言書作成の目的を考える
遺言書の作成目的を改めて考えましょう。「事業を子どもにスムーズに引き継いでもらうために、株式を特定の子どもに相続してもらいたい。」「相続人同士が揉めることのないように、適切に配分したい。」「相続人ではない人に自分の財産をあげたい。」などさまざまな目的が考えられるでしょう。
事業承継や遺留分対策など自分が亡くなった後の財産関係をどうしたいか考えると、遺言の内容もより明確になります。
目的から、具体的な条文などを考えていきますが、専門的な内容となりますので、是非司法書士や弁護士などの専門家にご相談下さい。
2.基本的な資料を揃える
公正証書遺言作成に必要な書類には、次のようなものがあります。
 ・ 遺言者本人の印鑑登録証明書
 ・ 遺言者と相続人の戸籍謄本
 ・ 相続人以外で財産を受け取る人の住民票(相続人以外に財産を与える場合)
 ・ 登記簿謄本(登記事項証明書)(財産に不動産がある場合)
 ・ 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書(財産に不動産がある場合)
3.公証人と打ち合わせをする
遺言の内容が決まれば遺言書作成前に公証人と打ち合わせをし、内容が法律上の要件を満たすように文案を整えていきます。
4.公証役場で作成する
内容が決まったら、公証役場で遺言書の形にしてもらい、本人と証人が署名・押印すれば完成です。

② 自筆証書遺言の場合

1.自身の財産を把握する
自分が持っている財産を把握しましょう。財産とは、預貯金だけではなく、不動産・自動車・株式なども含まれます。リストを作って整理するとよいと思います。
リストは、丁寧に作らないと漏れが出てしまい、遺言書を書き直さなければならなくなることもあります。
2.財産が確認できる資料を集める
財産が把握できたら、その財産が確認できる資料を集めましょう。
預貯金であれば預金通帳、不動産は名寄帳や固定資産税の課税明細書などの書類です。その他、株式に関する資料や、自動車を含む動産の資料も集めましょう。
3.相続人や割り振りを決める
相続人や割り振りを決めます。誰にどのような財産を引き継がせるか、相続人の事情や心情をよく理解することも大切です。
できることなら、自身の財産に関するリスクを相続人と共有した上で、相続させたい財産や金額、そして理由を伝えてあげられると、後の紛争予防になります。
4.自分で遺言書を作成する
自筆証書遺言は遺言作成者本人が全文、日付および氏名を手書きで書き、押印しなければなりません。財産目録を除き、パソコン等を使って作成することは認められていません。
完成した遺言書は自分で保管するほか、法務局に保管してもらうこととなります。

③ 秘密証書遺言の場合

1.遺言者が署名・押印した遺言書を作成する
遺言書を作成します。作成手順は自筆証書遺言と同じです。秘密証書遺言は自筆証書遺言と違いワープロソフト等を使って作成してもかまいませんが、遺言書への署名・押印は必要です。
2.封筒に入れて封印する
作成した遺言書を封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑で封印します。封印されていない場合や遺言書と異なった印鑑で封印された場合は遺言書が無効になってしまうため、十分気をつけてください。
3.公証役場で認証を受ける
公証役場に行き、公証人と2人以上の証人に自分の遺言書であることを伝え、氏名・住所を申述した上、封紙に本人と証人が署名押印すれば完成です。
遺言書の原本は自分で保管します。

5.遺言書の作成は司法書士への相談がおすすめ

遺言を作る意図は、
 後日の争いとならないように紛争予防とするとともに、法律上有効に後の世代に財産を引き継がせること
です。
法律上有効な遺言書を作成するためにも、一人で抱え込まず、専門家に是非ご相談下さい。
司法書士は相続手続きのプロとして、遺言書の作成から執行までサポート致します。
ぜひ、当事務所にお気軽にご相談ください。

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